大阪のマンション・大規模修繕・ベランダ防水工事
お役立ちコラム
更新日: 2025.06.18
マンションの大規模修繕は、建物の寿命を延ばすために必要な工事です。費用は築年数や規模によりますが、1戸あたり数百万円〜数千万円が一般的です。
ですが費用だけでなく、「実際にどんな工事内容があるのか?」「どれくらいの期間がかかるのか?」等の多くの疑問があるのではないでしょうか。この記事ではマンションの大規模修繕に関する基礎知識から、費用を抑える具体的な対策方法、スムーズな工事進行さらには将来の資産価値向上につながる改修の考え方のためのポイントまで、分かりやすく徹底解説していきます。
・マンションの大規模修繕を控えている方
・修繕委員会や管理組合の関係者
・マンションにお住まいの方
目次
マンションは、年月とともに建物自体が劣化していきます。外壁のひび割れや防水の剥がれ、配管の老朽化など、様々な問題が発生する可能性があります。こうした劣化を放置すると、居住者の安全や建物の寿命に深刻な影響を与えるため、定期的な修繕が不可欠です。そこで重要になるのが「大規模修繕」です。
建物は経年劣化によって外壁のひび割れ、屋根や屋上からの漏水、配管の老朽化などが発生します。これらの問題を放置すると、建物の構造に影響を与え、安全性を損なう可能性があります。
まるで人間が定期的に健康診断を受けるように、建物も定期的なメンテナンスが必要なのです。大規模修繕工事は単なる見た目だけの改修ではなく、建物全体の安全性を確保し、快適な住環境を守るための重要な役割を担っています。さらに、適切な修繕・改修を行うことは、マンションの資産価値を維持・向上させるためにも不可欠です。
大規模修繕工事にかかる費用は、マンションの規模や築年数、工事内容によって大きく異なりますが、国土交通省の調査によれば、1戸あたりの費用負担額は「75万円~125万円」の範囲が最も多く、全体の約55%を占めています。平均すると1戸あたり100万円~150万円程度が一つの目安と言えるでしょう。
マンションの規模 | 築年数 | 1戸あたりの価格 |
規模が小さい | 浅い | 数百万円 |
規模が大きい | 古い | 数千万円 |
例えば、100戸のマンションで、100㎡あたりの修繕費用が150万円だとすると、総額は約15億円になります。このように、大規模修繕にかかる費用は非常に高額となる場合も多いです。具体的な費用については、管理組合が専門業者に調査を依頼し、見積もりを取ることになります。見積もりには、修繕内容の詳細や使用する素材、工期などが明記されます。管理組合は、これらの情報をもとに、修繕計画を策定し、住民への説明を行います。
マンションの大規模修繕費用の内訳は、大きく分けて、工事費、設計費、諸経費の3つに分けられます。
マンションの大規模修繕費用に影響する要素はたくさんありますが、主な要素としては以下のものが挙げられます。
大規模修繕の期間は、工事の規模や内容によって大きく異なりますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度かかることが多いです。
ただし、マンションの規模が大きい場合や、工事内容が複雑な場合は、1年以上の期間を要することもあります。大規模修繕の期間を正確に把握するためには、専門業者による詳細な調査と計画が必要です。
また、工事期間中は、居住者の生活に様々な影響が出ることが予想されます。そのため、事前に工事期間中のスケジュールを確認し、どのような影響があるのかを把握しておくことが重要です。
マンションの大規模修繕は、建物の劣化状況や築年数などを考慮して、計画的に行う必要があります。一般的には築12年~15年を目安に、初回の大規模修繕が行われることが多いです。(国土交通省の調査では、1回目の平均実施周期は約15年 というデータもあります)。その後は建物の状況によりますが、12年~15年 ごとに修繕が計画されることが一般的です。
築年数 | 主な工事内容 | 1戸あたりの費用目安 |
築12年~15年 | 外壁塗装、防水工事など | 数百万円 |
築20年~25年 | 屋上防水、給排水管更新、内装改修など | 数千万円 |
築30年~35年 | 共用設備更新、大規模な内装改修など | 数千万円~数億円 |
ただしこれはあくまで目安であり、マンションの構造や立地条件、使用状況などによって時期は前後します。また修繕の必要性が発生した場合には、築年数に関わらず早急に大規模修繕を行う必要があります。
大規模修繕工事の一般的なステップを下記に示します。
1. 修繕委員会の発足
2. 建物診断・劣化診断の実施
3. 長期修繕計画の見直し
4. 見積もり依頼〜施工会社の選定
5. 資金計画の策定・総会決議
6. 工事会社との契約
7. 大規模修繕工事の実施
8. 各種検査・竣工・引渡し
それぞれを解説していきます。
修繕委員会とは、マンションの大規模な修繕を進める組織のことを指し、地域やマンションによっては「修繕専門委員会」と呼んだりします。
組織のメンバーは主にマンションの居住者で構成され、マンション理事会による決議で設置されるのが基本です。
修繕委員会の役割
修繕委員会を設置するメリット
修繕委員会は、マンションの大規模修繕を成功させるために欠かせない存在と言えるでしょう。
専門家(建築士、診断業者など)に依頼し、建物の劣化状況を詳細に調査します。
外壁、屋上、バルコニー、共用廊下、給排水設備など、修繕が必要な箇所と劣化の程度を把握します。
診断結果は、修繕計画の基礎資料となります。
建物診断の結果や、これまでの修繕履歴、社会情勢の変化などを踏まえ、既存の長期修繕計画を見直します。
今回の工事範囲、優先順位、おおよその予算などを検討します。
設計図書に基づいて、複数の施工会社に見積もりを依頼します。
見積もり内容、会社の技術力、実績、財務状況、提案内容などを比較検討します。
必要に応じてヒアリングやプレゼンテーションを実施し、最適な施工会社を選定します(通常は1社に絞り込み、内定)。
信頼できる業者を選ぶことは、費用面だけでなく、工事の品質や安全面にも大きく影響します。以下に、業者選びのポイントをまとめます。
見積もり内容の確認
見積もり内容をよく確認し、不明な点は業者に質問することが大切です。以下の項目について確認しましょう。
修繕工事の総費用を算出し、修繕積立金の状況と照らし合わせて資金計画を策定します。
不足する場合は、一時金の徴収や借り入れなどを検討します。
工事計画、施工会社、資金計画などについて、管理組合の総会で承認を得ます(通常、特別決議が必要)。
大規模修繕工事の資金計画は、工事の規模や内容、時期などを考慮して、以下のような手順で進める必要があります。
まずは複数の業者から見積もりを取得し、工事の内容と費用を把握します。見積もり内容には、工事費だけでなく、設計費、監理費、諸経費なども含まれるため、詳細に確認しましょう。また見積もりを比較検討することで、費用の妥当性を確認することができます。
大規模修繕工事の費用をどのように調達するか、いくつかの方法を検討する必要があります。主な方法としては、以下のものがあります。
資金計画の注意点
大規模修繕工事の資金計画には、いくつかの注意点があります。以下に、重要なポイントをまとめます。
これらの要素を考慮し、事前にしっかりと計画を立て、費用を把握することが重要です。
マンションの大規模修繕工事は高額な費用がかかるため、少しでも費用を安く抑えたいと考える方は多いでしょう。しかし安易に費用を抑えようとすると、工事の品質が低下したり、将来的な修繕費用がさらに高額になったりする可能性も考えられます。そこで本項では、マンションの大規模修繕工事にかかる費用を安く抑えるための方法をいくつかご紹介します。
建物の劣化は放置すればするほど深刻化し、修繕費用も高額になる傾向があります。定期的な点検を行い、小さな劣化も早期に発見して修繕することが大切です。小さな傷や汚れを放置せず早期に修繕することで、大規模な改修が必要になるのを防ぎ、費用を抑えることができます。
大規模修繕費用の捻出が難しい場合は、優先順位を付けて工事内容を絞り込むことも有効です。建物の価値を損なわずに、予算を抑えた修繕が可能です。
こちらは実際に弊社が過去に施工したマンションです。築45年とかなり古く経年劣化による退色、防水層の劣化などが見受けられました。空室が目立ち始めている影響で「大規模修繕を実施するお金の余裕が無い」とお悩みを持たれておりました。
ライフラインに関わる外壁劣化部分の補修と防水層の修繕工事を実施し、入居率を高めるべく外壁塗装を行いました。その結果、施工後に物件の内見依頼が増加に成功。建物の安全性を確保するだけでなく、資産価値の向上にも成功しました。
同じ工事でも、使用する工法や材料によって費用は大きく変わります。例えば外壁の塗装工事でも、耐久性の高い塗料を使用すれば、塗り替えの回数を減らすことができ、長期的に費用を抑えることができます。工法や材料を慎重に検討し、費用対効果の高いものを選択することが重要です。
最低でも3社以上の業者から相見積もりを取って比較することで、適正な価格で施工できる業者を見つけることができます。相見積もりの際には価格だけでなく、業者の実績や技術力、アフターサービスなども考慮しましょう。また見積もり内容を詳細に検討して業者との価格交渉に臨むことで、費用を抑えることができます。
工事を行う際にかかる税金を抑える方法も有効策といえます。大規模修繕工事を行った場合、固定資産税が減額される制度があるだけでなく、工事内容によっては減価償却が可能なケースも存在します。税制は頻繁に改正されるため、最新の情報の把握が重要です。ただし税制は頻繁に改正されるため、税理士などの専門家への相談をおすすめいたします。
国や自治体では、マンションの大規模修繕工事に対して、補助金や助成金制度が設けられている場合があります。例えば以下のようなものがあります。
建物の耐震性を向上させるための改修工事に対して支給される補助金です。
詳細:建築物耐震対策緊急促進事業 交付申請マニュアル 国土交通省
高齢者や障がい者も安心して暮らせるよう、共用部のバリアフリー化工事に対して支給される補助金です。
詳細:バリアフリー関連補助金 国土交通省
建物の断熱性能を向上させ、エネルギー消費量を削減するための改修工事に対して支給される補助金です。
詳細:マンションの省エネ改修事例・支援制度 国土交通省
エレベーターの防災機能を強化するための改修工事に対して支給される補助金です。
詳細:エレベーターの防災対策改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業(交付金)) 国土交通省
最適な補助金を選ぶためには、建物の状況や住民のニーズ、自治体の補助金制度など
総合的に検討することが重要です。また補助金に関する手続きは条件を満たさないといけず複雑なため、行政機関などに相談することをおすすめします。
選定された施工会社と正式に工事請負契約を締結します。契約内容(工事範囲、金額、工期、支払い条件、保証など)を十分に確認します。
施工会社が工事計画に基づいて工事に着手します。
修繕委員会やコンサルタントは、設計図書通りに工事が進められているか、品質管理は適切かなどを確認(工事監理)します。定期的に進捗状況を居住者に報告します。安全対策を徹底し、居住者への配慮を怠らないようにします。
大規模修繕の期間中は、住民は生活に支障をきたす場合もあります。例えば、騒音や振動、工事車両の通行などです。そのため、管理組合は、住民への説明を十分に行い、理解を得る必要があります。また、住民が安心して生活できるよう、工事中の生活環境に配慮する必要があります。
工事の節目ごと(例:足場解体前など)に中間検査を実施します。
全ての工事が完了したら、設計図書通りに仕上がっているか、不具合がないかなどを確認する竣工検査を実施します(発注者検査、設計監理者検査、場合によっては行政検査)。
竣工検査で問題がなければ、施工会社から建物の引き渡しを受けます。
工事に関する書類(保証書、完成図書、点検記録など)を受け取ります。
マンションの大規模修繕工事は、住民にとって大きな負担となる一方で、建物の寿命を延ばし、住環境の向上にも繋がる重要な取り組みです。スムーズな修繕を進めるためには、事前の準備、住民間での協力、そして管理組合の積極的な役割が不可欠です。ここでは、大規模修繕を円滑に進めるための具体的な方法を紹介します。
1. 丁寧な情報公開とコミュニケーション
修繕計画や工程、費用など、住民にとって重要な情報は、分かりやすく丁寧に公開することが重要です。住民説明会などを開催し、積極的に質問を受け付けることで、疑問や不安を解消し、理解と納得を得ることができます。また、管理組合は、住民からの意見を積極的に聞き取り、議論を通じて合意形成を図りましょう。
2. 住民参加と協力を促す
大規模修繕は、住民全員で取り組むべき課題です。修繕計画への意見募集や、工事中の進捗状況の報告などを積極的に行い、住民が参加できる機会を設けましょう。また、ボランティア活動などを推進することで、住民間の連携を強化し、一体感を育むことができます。
3. 専門業者との連携
修繕工事は、専門業者に依頼することになります。信頼できる業者を選定し、綿密な打ち合わせを行い、工事内容やスケジュール、費用などを明確にしましょう。また、工事中は、定期的に現場を視察し、工程管理や品質管理を徹底することで、トラブルを防止することができます。
4. コミュニケーションツールを活用
近年では、マンション管理において、スマートフォンアプリやウェブサイトなどのコミュニケーションツールを活用することが増えています。これらのツールを活用することで、住民への情報伝達を迅速化し、意見交換や質問などをスムーズに行えます。
マンションの大規模修繕は、住民全員にとって大きな課題であり、同時に、マンションの価値を高める貴重な機会でもあります。住民と管理組合が協力し、積極的にコミュニケーションを取り合い、信頼関係を築くことで、スムーズな修繕を実現し、より快適な住環境を創造することができます。
この記事が、皆様のマンションの大規模修繕に関する理解を深める一助となれば幸いです。
更新日: 2025.06.18 公開日:2024.03.13
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