大規模修繕は12〜15年に1度、建物を維持し続けるために行う必要があります。準備段階で1〜2年かかるため、具体的な流れをあらかじめ把握しておきましょう。このページでは、大規模修繕の進め方についてご紹介します。

建物は、月日の経過によって必ず劣化していきます。手を加えずに使い続けていると、深刻な事故に発展するかもしれません。定期的に、大規模修繕工事を行う必要があります。

本記事では、大規模修繕の進め方について解説します。はじめて大規模修繕を依頼される方は、あらかじめ流れを理解してポイントを押さえておきましょう。

8つの流れで解説する大規模修繕の進め方

大規模修繕工事進め方

大規模修繕工事進め方

大規模修繕はその名のとおり大掛かりな作業となります。事前の準備が非常に重要です。依頼する会社によって多少違いはあるかもしれませんが、基本的には以下の流れで進めていきます。

1.建物の調査

大規模修繕をはじめるにあたり、建物の調査を行います。大規模修繕は、12〜15年に1度のペースで行われるのが一般的です。信頼できる会社をパートナーとして選定し、建物の調査を依頼してどういった修繕が必要か見てもらいましょう。

2.修繕計画

必要な修繕工事が確認できたら、修繕計画を組みます。修繕をはじめる時期や修繕を行う箇所、採用する修繕方法、修繕費用などを決定します。

3.修繕工事設計

長い目で見たときに、どういった方法でこの先建物を維持し続けるのか、修繕工事設計を行います。採用する修繕方法について、どれくらいの規模でどういった材料を用いて行うのか、前提条件として費用や期間を踏まえながら組んでいきます。

4.工事会社の選定

大規模修繕を実際に依頼する工事会社を選定します。保険の内容やアフターサービスなども重要ですが、もっとも大切なのは対応です。大規模修繕は、建物の持ち主である自分のほかに、利用者にも影響を与えます。以下の項目を重視しながら信頼できる工事会社を選びましょう。

・工事内容についてしっかりと説明してもらえるか
・瑕疵保険をしっかりと対応してもらえるか
・トラブルなどが発生した場合に対応してもらえるか
・施工後の点検やアフターサービスの有無
・費用ばかりでなく修繕方法のクオリティを確認
・そのほか柔軟な対応があるか

はじめから1つの会社だけに絞るのではなく、複数社に見積り作成を依頼して比較しながら選定しましょう。

5.資金計画

工事会社の選定によって、必要となる資金がより具体的になるでしょう。大規模修繕にかかる費用は、総額は非常に高くなります。修繕積立金だけで賄えるのであれば問題はありません。

もし、費用が足りないのであれば、どういった方法で資金を確保するのか検討する必要があります。優先度が高い修繕箇所を先に行ったり、金融機関から借り入れたりといった方法が有力な選択肢です。

6.総会決議

建物の利用者に向けて、大規模修繕工事を行うために総会決議を開催して承認を得ます。必要な修繕や費用、選定した工事会社などを説明して、理解してもらいましょう。

総会決議でもっとも重要となるのが、工事会社の選定理由です。どういった観点でその工事会社を選んだのか、疑念が生まれてしまうと承認が得られない恐れがあります。

7.契約締結

総会決議で建物の利用者から承認が得られたら、契約締結へと移ります。ここまで来て計画などを組み直すことはありませんが、改めて契約内容を確認したうえで、工事会社と契約を締結します。

8.工事実施

ここまで来たら、いよいよ工事実施です。大規模な修繕となるため、作業期間も長いです。建物の利用者の間でトラブルが発生するかもしれません。もし何らかの問題が発生したら、対応できるようにしましょう。

大規模修繕の期間

大規模修繕工事進め方

大規模修繕工事進め方

大規模修繕は、建物全体を見直して大掛かりに行われます。そのため作業期間はもちろんのこと、計画を組み始めてから実際に作業に取り掛かるまでに相応の期間が発生します。

深刻な問題が発生してしまう前に、あらかじめ見越して動き始めることが大切です。

計画から着工まで1〜2年

本記事では、大規模修繕工事を計画して実際に工事実施に至るまでの流れを8つに分けてご紹介しました。この間、実に1〜2年近い期間がかかります。

作業期間は3ヵ月前後

作業期間は、修繕内容によって変動するものの、およそ3ヵ月前後だとされています。建物の利用者には、その間迷惑をかけることになるため、どれだけの期間工事を行うのか総会決議などでしっかりと承認してもらいましょう。

【まとめ】

大規模修繕工事進め方

大規模修繕工事進め方

大規模修繕を行うにはしっかりとした準備が重要

大規模修繕は工事会社にすべてを委ねてしまうのではなく、持ち主自らが率先して準備を行う必要があります。計画を組み始めてから実際に工事を実施するまでに1〜2年かかるものであるため、しっかりと準備を行いましょう。

資金面や工事会社の選定など以外にも、建物の利用者に納得してもらうことも非常に重要です。説明を疎かにして無用なトラブルに発展しないようにしましょう。