カーボンニュートラルとは?建物の修繕工事で出来ること

近年、「カーボンニュートラル」という言葉をよく耳にするようになりました。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出量をゼロにすることを目指す概念です。日本では2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しており、企業活動や日常生活のあらゆる面でこの目標達成に向けた取り組みが求められています。本記事では、そんなカーボンニュートラルの実現を、建物修繕という観点で貢献するにはどうしていくべきかについて解説していきます。

この記事がオススメな方

・環境問題について興味関心がある方
・価値の高い建物修繕を実施したい方
・建物の資産価値を向上させたい方

カーボンニュートラルと脱炭素の違い

カーボンニュートラルと似た意味合いで脱炭素という言葉もよく使われますが、厳密には少し違っています。

1. 言葉の定義の違い

  • 脱炭素(だつたんそ) 文字通り「炭素(CO2排出)から脱却する」ことです。石炭や石油を使わないようにし、排出量そのものを限りなくゼロに抑えるという「行為・プロセス」に重点が置かれています。
  • カーボンニュートラル 直訳すると「炭素に対して中立」です。どうしても出てしまうCO2を、植林や回収技術によって「吸収」することで、「排出量 - 吸収量 = ゼロ」にするという「状態」を指します。

2. イメージ図

イメージとしては、バケツ(地球)に水(CO2)を注ぐシーンを想像してみてください。

  • 脱炭素: 蛇口を完全に閉めて、水が出ないようにする。
  • カーボンニュートラル: 蛇口から水が少し漏れていても、同じ分量だけ下から排水(吸収)すれば、バケツの中の水量は増えない(=実質ゼロ)。

CO2排出量の分布図から見る対策法

CO2を多く排出するものとして化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の燃焼が有名ですが、実は電力を作る際の火力発電によっても、多くのCO2が排出されています。詳しくは下記図をご覧ください。

上記の図では“家庭でのCO2排出量”“電力消費量”を表しており、家庭でも電力消費量は全体の約半分を占めており、そのうちの1/6はエアコンが占めている状態です。商業施設やオフィスビル、生産工場などでは、この数値以上に電力消費によって、CO2が排出されていることになります。

出典:温室効果ガスインベントリ

出典:環境省 令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査事業委託業務 (令和3年度調査分の実施等) 報告書

電力使用量は今後も高まる傾向

エアコン使用で特に問題視されているのが夏場のクーラーの使用量です。地球温暖化による気温上昇でクーラーを使う機会も増えてきました。国際エネルギー機関IEAによると、25年後の2050年には、冷房に起因する電力需要は3倍にも高まるとされています。

出典:国際エネルギー機関(IEA) 「The Future of Cooling」(2018)

建物修繕の実施でCO2排出量を抑える

では、建物修繕でCO2排出量を抑えるにはどうすればよいでしょうか?一見すると解決策が無いように思えますが、実は以下の実施によってCO2排出量を抑えることが可能です。

遮熱塗料による室温上昇を抑える

屋根や外壁に遮熱塗料を塗ることで、太陽光の熱を反射し、室内の温度上昇を抑制します。屋根の表面温度は約10度下がり、室内温度は約5度下がると言われています。これにより冷房効率が向上し、快適な室内環境を実現できます。

防水工事の実施で断熱層を守る

防水工事の実施は雨漏りを防ぐだけでなく、建物の内部を守る役目もあります。濡れた服を着ていると体が冷えて風邪を引きやすいように、雨漏りを放置すると建物内部に水分が浸透し、建物内部全体の温度を下げてしまいます。夏場は除湿、冬場は暖房の使用頻度が高くなり、電力消費によるCO2発生も増えてしまいます。雨漏り発生前の防水工事の実施で建物を守ることが大切です。

定期的なメンテナンスの実施で大規模修繕の回数を抑える

建物の修繕工事を実施するには、建物調査の実施後、足場を立て、実際に工事する必要があります。その際に大量の材料を車で運ぶ必要があり、車の排気ガスによるCO2排出量が多くなってしまいます。建物の大規模修繕となれば、更に多くのCO2を排出することとなります。ですが定期的なメンテナンスで問題箇所を早期発見できれば、足場を立てる範囲を狭めたり、ロープ作業での対応が可能になります。

古い共用設備の見直し・交換

ライトや配管などの設備は経年劣化による機能性の低下だけでなく、最新モデルと比べて作動効率が高いとはいえません。例えば白熱灯よりもLEDの方が省エネで長寿命と優れているように、共用設備の見直し・交換を実施することで、ガスや水道、電気などのエネルギー効率を高めることが可能です。設備の省エネ化は国や自治体からの補助金制度も豊富に用意されているので、利用すると良いでしょう。

高グレード材料を使用し、建物の資産価値を高める

築年数が古かったり建物の資産価値が低く収益が見込めない場合には、既存の建物を解体して新しい建物を建築する場合があります。ですが建物解体の際には、重機の輸送や使用、廃棄物の輸送や処理など、沢山のCO2を排出してしまいます。そうならないためにも、高グレード材料を使用し、建物の資産価値を下げない工夫が大切といえます。

建物オーナーや管理組合の皆様が、修繕工事のタイミングでカーボンニュートラルへの貢献を意識することは、社会全体の目標達成に大きく寄与することになります。

修繕工事でカーボンニュートラルを進めるメリット

建物の修繕工事を通じてカーボンニュートラルに貢献することは、地球環境への配慮に留まらず、管理組合やビルオーナー、さらには入居者や建物利用者にとっても多様な実利的なメリットをもたらします。ここでは、環境負荷低減だけでなく、経済的・社会的な側面から得られる具体的な利点について解説します。

環境負荷の低減とCO2排出量の削減

カーボンニュートラルな修繕工事を進める最大のメリットは、建物から排出されるCO2量を削減し、地球温暖化対策に直接貢献できる点です。例えば、断熱材の強化や高効率な空調設備への更新は、建物のエネルギー消費量を大幅に減らし、それに伴うCO2排出量も削減します。具体的には、断熱性能を向上させることで暖房・冷房負荷が軽減され、年間で数トンから数十トン規模のCO2削減に繋がるケースもあります。これは、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となります。

ランニングコストの削減

建物のエネルギー効率を高める修繕工事は、長期的に見てランニングコストの大幅な削減に直結します。特に、断熱性能の向上や高効率な空調・照明・給湯設備への更新は、電気代やガス代といった光熱費を大きく引き下げます。例えば、最新のLED照明に切り替えるだけで照明にかかる電力消費を数割削減できるほか、高性能な断熱窓に交換すれば年間数万円単位の冷暖房費削減が期待できます。初期投資は必要ですが、これらの改善は数年~十数年で投資回収が可能となり、その後は継続的なコストメリットを生み出します。

建物の資産価値向上

環境性能の高い建物は、今日の市場において高い評価を受ける傾向にあります。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証やBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)などの環境認証を取得した建物は、売却時や賃貸時に有利に働き、建物の資産価値向上に繋がります。環境意識の高い企業や個人は、省エネ性能や環境配慮がなされた物件を積極的に選ぶため、物件の競争力が高まります。これは、将来的な不動産価値を維持・向上させる上で非常に重要な要素となります。

環境省:ZEBに関連する評価・認証・表示制度

入居者・テナント満足度の向上

断熱改修によって室内の温度環境が安定し、冬は暖かく夏は涼しい、快適な居住・執務空間が実現します。これにより、入居者やテナントの満足度が向上するだけでなく、結露の抑制やカビの発生防止にも繋がり、健康的な室内環境を提供できます。また、省エネ設備による光熱費負担の軽減は、入居者の経済的なメリットにもなります。特に、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への関心が高い企業にとっては、環境配慮型のオフィスや店舗を選ぶことが企業価値を高める要素となるため、テナント誘致においても有利に働くでしょう。

まとめ:修繕工事をカーボンニュートラル実現のチャンスに

修繕工事は、単に建物を維持管理するだけでなく、地球環境に配慮し、建物の価値を向上させる絶好の機会です。この機会を活かし、専門家と相談しながら、建物の特性に合わせた最適なカーボンニュートラル対策を計画・実行することで、環境に優しく、そして住む人・利用する人にとっても快適で価値の高い建物を実現できるでしょう。修繕工事を、建物の未来、ひいては地球の未来をより良くするためのチャンスとして捉え、ぜひ一歩を踏み出してください。

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更新日: 2026.01.07  公開日:2026.01.07

監修者

トゥインクルワールドはマンションの大規模修繕・ ベランダ・防水工事は自社管理の施工で低価格・高品質な施工を行なっております。大規模修繕工事や関連する情報に関して分かりやすく解説しています。

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