賢い建物の維持管理!「部分修繕・段階的修繕」で費用を抑え資産価値を守る方法

「大規模修繕には数百万~数千万円かかる…」「入居率が下がって資金が足りない」「近々売却したいけど、修繕費用は抑えたい」といった、建物の維持管理と費用捻出のバランスに頭を悩ませている不動産オーナー様は少なくありません。一般的に12~15年に一度推奨される大規模修繕ですが、その負担は決して小さくないものです。しかし、建物の劣化を放置すれば資産価値は下がり、修繕費はさらに膨らんでしまいます。

そんなジレンマを解決する現実的な選択肢が、「部分修繕・段階的修繕」です。本記事では、弊社が手がけた事例をもとに、限られた予算で建物を守り、価値を維持・向上させるための具体的な進め方を解説します。

この記事がオススメな方

・ビル・マンションなどの建物を管理、所有されている方
・修繕工事を検討している方
・修繕積立金が不足して困っている方

「部分修繕・段階的修繕」とは?大規模修繕との違い

大規模修繕の必要性と費用の壁

マンションやアパートを長期的に維持するには定期的なメンテナンスが不可欠であり、大規模修繕は建物の安全性や機能性を維持するために重要です。一般的には12〜15年周期での実施が推奨されており、外壁の塗り替え、屋上防水、給排水管の改修など多岐にわたる工事が含まれるため、数百万から数千万円、場合によっては億単位の費用が発生することもあります。

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、36.6%のマンションで修繕積立金が計画より不足しているという実態があります。この高額な費用は、多くの不動産オーナー様にとって大きな負担となり、修繕積立金の不足や資金繰りの問題から実施をためらうケースも少なくありません。

部分修繕・段階的修繕の定義と特徴

こうした費用負担の課題に対し、国土交通省の「マンション管理・再生ポータルサイト」等でも、計画的な実施方法の一つとして紹介されているのが「部分修繕・段階的修繕」という考え方です。

部分修繕とは、建物全体の劣化状況を診断し、雨漏りやひび割れなど緊急性の高い箇所に限定して修繕を行う方法を指します。例えば、雨漏りが発生している屋上の一部、ひび割れが目立つ外壁の一部、機能不全に陥っている特定の設備など、問題が顕在化している箇所に絞って工事を実施します。

一方、段階的修繕は、大規模修繕の項目を数年間に分割し(例:1年目に外壁、3年目に屋上)、費用負担を分散させながら最終的に全体を直す方法です。例えば、1年目に外壁塗装、3年目に屋上防水、5年目に給排水管改修といった形で、費用と工事の負担を分散させながら、最終的には大規模修繕と同等の状態を目指します。

大規模修繕が「全体を一度に刷新する」アプローチであるのに対し、これらは「必要な箇所から、計画的に手を入れる」という柔軟なアプローチが最大の特徴です。一度に多額の費用を捻出するのが難しい場合や、物件の売却を検討しているが最低限の修繕で価値を維持したい場合などに特に有効です。

項目大規模修繕部分修繕・段階的修繕
対象範囲建物全体(外壁、屋上、共用部、設備など広範囲)特定の劣化箇所、または計画的に分割された範囲
費用高額(数百万~数千万円以上)比較的低額(数万~数百万円程度)
実施期間短期集中(数ヶ月~半年程度)長期分散(数ヶ月~数年間)
目的建物の総合的な機能回復、資産価値維持・向上緊急性の高い箇所の対処、費用分散による計画的修繕、特定の目的達成(売却、入居率向上など)
計画性定期的な計画が必須劣化状況や予算に応じた柔軟な計画が可能

「部分修繕・段階的修繕」4つのメリット

大規模修繕の費用捻出に頭を悩ませる不動産オーナー様にとって、「部分修繕・段階的修繕」は非常に有効な選択肢となり得ます。ここでは、この修繕方法がもたらす具体的なメリットについて詳しく解説します。

メリット1:初期費用を大幅に抑えられる

一度に多額のキャッシュを出す必要がないため、積立金不足の状態でも必要な箇所から着手できます。大規模修繕では建物全体を対象とするため、数百万から数千万円といった高額な費用が発生しますが、部分修繕であれば、緊急性の高い箇所や特に劣化が目立つ箇所に限定して工事を行うため、初期費用を大幅に削減できます。

メリット2:計画的な資金準備が可能になる

数年かけて費用を分散することで、一度の負担を軽減し、キャッシュフローへの影響を最小限に抑えられます。例えば、今年は外壁の一部補修、来年は屋上防水、といった形で数年間にわたって費用を分散することで、計画的な資金準備が可能になります。

メリット3:劣化の激しい箇所を優先して対処できる

専門家の診断に基づき、建物の安全性や寿命に直結する箇所から効率的に手を打てます。建物の劣化状況は一様ではなく、日当たりの良い南面とそうでない北面、雨漏りのリスクが高い屋上など、箇所によって劣化の進行度合いや緊急性は異なります。「部分修繕・段階的修繕」では、特に優先すべき劣化箇所から対処できるため、費用対効果の高い修繕を実現し、建物の寿命を効率的に延ばすことが可能です。

メリット4:状況に応じた柔軟な対応ができる

「売却前に外観を改善したい」「空室対策で共用部を優先したい」といった特定のニーズに応えられます。例えば、エントランスや共用廊下など入居者の目に触れる箇所の修繕に絞ることで、入居率の改善を促進できます。また、売却前に必要な修繕のみを行うことで、コストを抑えつつ物件の魅力を高め、売却時の評価向上にも繋げることが可能です。

【重要】知っておくべきデメリットと注意点

メリットの多い手法ですが、以下の現実的なリスクを理解した上で計画を立てる必要があります。「部分修繕・段階的修繕」は、費用を抑えながら建物の状態を維持できる有効な手段ですが、その一方でいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。

デメリット1:トータルコストが割高になる可能性

部分的に修繕を繰り返すと、その都度「足場代」や共通仮設費が発生するため、最終的な総コストは割高になる可能性が高いことを念頭に置く必要があります。異なる時期に異なる業者によって修繕が行われると、全体の整合性が取りにくくなったり、足場の設置費用などがその都度発生したりするケースがあります。長期的な視点でのコストパフォーマンスを考慮した計画が不可欠です。

デメリット2:根本的な解決にならない場合がある

あくまで部分的な処置であるため、修繕していない箇所の劣化は進行し続けます。例えば、外壁の一部分だけを補修しても、他の部分の劣化は進行し続けます。また、目に見える劣化箇所を修繕しても、その根本原因が建物の構造的な問題にある場合、再発のリスクや別の箇所での劣化を招く可能性もあります。一時的な延命措置にならないよう、将来の大規模修繕を見据えた出口戦略が必要です。

デメリット3:長期修繕計画の見直しが必須

部分・段階的修繕を行う際は、既存の「長期修繕計画」の見直し・書き換えがセットで不可欠です。場当たり的な修繕は将来の資金シミュレーションを狂わせるため、必ず専門家と相談し、計画を修正しながら進めてください。効果的な部分修繕・段階的修繕を行うためには、建物の劣化状況を正確に診断し、どの箇所をどのタイミングで修繕すべきかを見極める専門的な知識が不可欠です。

どんな場合に「部分修繕・段階的修繕」がおすすめ?

大規模修繕の実施が理想的であることは言うまでもありませんが、現実的な制約により、常にそれが最善の選択とは限りません。特に以下のような状況では、「部分修繕・段階的修繕」が非常に有効な解決策となり得ます。

ケース1:修繕積立金が不足している場合

大規模修繕に必要となる多額の費用に対し、修繕積立金が十分に貯まっていない場合、大規模修繕の実施は困難です。このような状況で修繕を先延ばしにすると、建物の劣化はさらに進行し、将来的にさらに高額な修繕費用が必要になるリスクがあります。部分修繕や段階的修繕であれば、緊急性の高い箇所や劣化が著しい箇所から優先的に対応することで、費用を抑えつつ建物の安全性を維持し、時間を稼ぐことが可能です。これにより、計画的に積立金を増やす期間を確保できます。

ケース2:物件売却を検討している場合

近い将来に物件の売却を計画している場合、大規模な修繕に多額の費用をかけることは、投資回収の観点から躊躇されるかもしれません。しかし、建物の見た目や機能性が著しく劣化していると、売却価格に悪影響を及ぼし、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。部分修繕や段階的修繕は、物件の印象を大きく左右する外壁の汚れやひび割れ、エントランスの傷みなど、視覚的に目立つ部分や機能上重要な部分に絞って修繕を行うことで、費用を抑えつつ物件価値を向上させ、売却を有利に進めることができます。

ケース3:部分的な劣化が進行している場合

建物全体にわたる大規模な劣化ではなく、外壁の特定箇所にひび割れが集中している、屋上の防水層の一部に剥がれが見られる、共用廊下の床材が部分的に傷んでいるなど、特定の箇所にのみ劣化が進行しているケースです。このような場合、全体的な大規模修繕を行うのは過剰な投資となる可能性があります。部分修繕や段階的修繕であれば、問題のある箇所に限定して集中的に補修を行うことで、費用を最小限に抑えつつ、劣化の進行を食い止め、建物の寿命を延ばすことが可能です。

優先すべき修繕箇所の見極め方

限られた予算をどこに投じるべきか、専門家による劣化診断に基づき以下の順位で検討することを推奨します。限られた予算の中で効果的に部分修繕・段階的修繕を進めるためには、どの箇所を優先して修繕すべきかを見極めることが非常に重要です。

劣化診断の重要性

修繕の優先度を正確に判断するためには、専門家による劣化診断が不可欠です。建物の状態は見た目だけでは判断できない部分が多く、専門知識を持った業者による詳細な診断がなければ、本当に必要な修繕箇所やその緊急性を見誤ってしまう可能性があります。劣化診断では、建物の構造、外壁、屋上、設備など、多岐にわたる項目を詳細にチェックします。これにより、表面的な劣化だけでなく、内部で進行している可能性のある問題も洗い出すことができ、将来的な大規模な損傷や事故を未然に防ぐことにもつながります。

劣化箇所ごとの優先度

劣化診断の結果に基づき、修繕箇所の優先度を決定します。一般的には、以下の観点から優先順位を検討することが推奨されます。

  • 安全性に関わる劣化(最優先):構造のひび割れ、鉄筋の露出、手すりのぐらつき等、入居者や通行人の安全に直結する箇所です。これらを放置して事故が起きた場合、オーナー様は法的責任を問われる可能性があります。
  • 機能性に関わる劣化:雨漏りや給排水の故障など。放置すると建物内部が腐食し、修繕費が跳ね上がるだけでなく、入居者の不満や退去を招きます。これらを放置すると、空室率悪化の原因となります。
  • 美観・費用対効果:外壁の汚れやエントランスの傷みなど。入居率や売却価格に直結する部分です。直接的な安全性や機能性には関わらないものの、入居希望者の第一印象を左右し、入居率や家賃設定に影響を与える可能性があります。

これらの要素を総合的に判断し、現在の予算と目標に合わせた最適な修繕計画を立てることが、部分修繕・段階的修繕を成功させるための重要なステップとなります。

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簡単1分!建物の状態をチェックしてみる

【事例紹介】弊社が手がけた成功例

弊社が実際に手がけた事例をご紹介します。ここまで「部分修繕・段階的修繕」の考え方やメリット・デメリット、そして有効なケースについて解説してきましたが、実際の工事がどのように行われ、どのような効果が得られるのか、具体的な事例を通して見ていきましょう。

事例1:塗装工事で建物の資産価値が向上!物件売却に成功

売却を検討中だった4階建てマンションの事例です。デザイン性に富んだ建物でしたが、全体的に雨垂れなどによって汚れが目立っている状態でした。オーナー様は高値で売れるように修繕工事を行って綺麗にしたいとご希望されておりました。

高圧洗浄によって汚れを落とし、塗装工事を実施。既存の藍色の外壁ではなく、白を基調とした仕上がりになりました。その結果、施工から1ヶ月以内での売却に成功しました。

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事例2:部分的な修繕でコストを抑え、内見問い合わせ急増

積立金不足に悩む築45年の物件です。築45年とかなり古く、経年劣化による退色、防水層の劣化などが見受けられました。空室が目立ち始めている影響で「大規模修繕を実施するお金の余裕が無い」とお悩みを持たれておりました。

雨漏りリスクのある箇所の補修と防水層の修繕、そして外壁塗装を優先して実施しました。ライフラインに関わる外壁劣化部分の補修と防水層の修繕工事を実施し、入居率を高めるべく外壁塗装を行いました。その結果、内見依頼が急増し、資産価値の向上につながりました。

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他にも様々な事例があり、こちらの記事にて詳しくご紹介させていただいております。是非あわせてご覧ください。

まとめ:賢く計画を立て、資産価値を守り抜く

部分修繕・段階的修繕は、資金不足や売却といった状況に合わせて建物を守るための「賢い戦略」です。初期費用を抑えながら、建物の主要な劣化箇所に優先的に対処し、資産価値の維持・向上を図る有効な方法です。

「今、どこまで直すべきか?」と迷われているオーナー様は、まずは現状の健康診断(劣化診断)から始めてみてはいかがでしょうか。建物の状態やオーナー様の状況に合わせて最適な修繕計画を立てることで、コストを抑えつつ物件の魅力を高め、結果として安定した収益や売却時の高評価へと繋げることが可能です。

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更新日: 2026.02.18  公開日:2026.02.18

監修者

トゥインクルワールドはマンションの大規模修繕・ ベランダ・防水工事は自社管理の施工で低価格・高品質な施工を行なっております。大規模修繕工事や関連する情報に関して分かりやすく解説しています。

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